2022-06-14 素人がピクルスを作って加工品専門学校を開いた話。 1.はじめに 2.生野菜からピクルスの製造販売に切替えた理由 農家と卸業者が抱える問題点 3.加工食品への挑戦 4.ピクルスの絶大な効果を知る 5.自社商品の立ち位置を明確にする 6.心強い自社店舗での現金収入 7.失敗しても最小限に費用を抑えるためにDIYでカフェを開業 8.野菜の卸売から8倍の売上を達成 9.売れる商品に成長させるまでにやったこと 11.ブランディング 12.営業に行かない営業 13.メディアとの付き合い方 14.販促ツールの制作 15.さいごに 1.はじめに 初めまして。合同会社JINRI代表の椋木章雄(むくのきあきお)と申します。 私は2012年に個人事業として起業し、地元の山口県萩市の農家から野菜を仕入れ「萩野菜ブランド」を確立すべく地元スーパーに直売コーナーを設け販売をするという事業をスタートさせました。きっかけは地元の農業をどうにか盛り上げたいとの思いから、新しい切り口で萩の野菜を売り出す事は出来ないかと考え、一軒一軒飛び込みで農家をあたり野菜を提供してもらえるようお願いしてまわった所から始まります。今ではその野菜の卸売りは完全に辞めて、その野菜をつかってピクルスの製造をしています。そんな中、TV出演やネットで弊社のピクルスのレシピを見た方達から「ピクルスの作り方を教えて欲しい」「自分の所でも食品加工に取り組んでみたい」というお問い合わせを多く頂く様になりました。私は加工品の製造を始めて、経営が本当に楽になりました。長年1人で経営をしており、人を雇うほど利益も出てなかった為、365日本当に休む暇なく身を粉にして働いてきましたが、今ではスタッフも増え製造に携わらなくても済む様になりました。そして2020年に約80座席の大型店舗と加工場を新設致しました。 2012年に地元野菜の卸売として事業を立ち上げた時には、まさかこんな事になるとは全く想像もしていませんでした。 これまで多くの、本当に数えきれない程の失敗を積み重ね今があります。事業形態としては農業→野菜卸→ピクルス製造販売→サンドイッチ販売→カフェ運営という経緯になりますが、どのフェーズにおいてもいつもなにかしらの困難に直面してきました。その都度、もがいてあがいて自分なりの正解を導き出して泥水をすすりながら何とか乗り越えてきた、というのが正直なところです。 この記事では、私がこれまでどの様にピクルスを作り、販売してきたか、どの様に売れる商品として成長させてきたか等、様々な失敗と成功を繰り返しながら積み上げてきたか綴ろうと思います。今運営している加工品専門学校「ピクルスアカデミー」で、「自分はピクルスを作る気はないが加工食品製造は学びたい」という質問を多く頂くのですが、「それでも絶対にピクルス製造を学んだ方がいいですよ」とお答えしています。 どういう事かと言うと、ピクルスとサンドイッチの製造許可を取得し、加工品製造の知識を得てしまえば他の加工品にも転用できるのです。 もちろん自分のお店で販売するだけでなく、スーパーや百貨店などでも販売できます。要は加工食品の製造、販売に必要な知識を得て、理屈さえ分かってしまえばいくらでも応用が効くのです。商品として最低限クリアしなければならない細菌数や種類、そのデータを元に賞味期限を何日にするのか、細菌はどうやれば減らせるのかなどは全ての加工食品に共通して必要な知識なのです。私自身、知識ゼロからピクルス作りを始め、完成した時に思った事は「この知識を横展開したらどんな加工品もつくれるな」でした。実際にこれまでの受講生の方でもピクルスは作らず他の加工食品を製造している方も多くいらっしゃいます。 ピクルスはおそらく加工食品の中で素人が最も簡単に、最も低予算で着手できる商品です。これから加工品の製造に取り組もうと考えている方は是非参考にしてみてください。 2.生野菜からピクルスの製造販売に切替えた理由 先にも書きましたが2012年に野菜の卸売として個人事業を立ち上げ約2年間、農家から直接仕入れた野菜をスーパーに出荷をしていました。 忙しい時は両親の手を借りなんとかやりくりしていましたが、集荷から配送まで基本的に一人で全てをこなしていたので体力的に限界を向かえて来ました。 また自分ではどうする事も出来ない外部環境による障害にもぶつかり、売上も安定しない時期が続き次第にこの状況に危機感を抱き始めたのです。 農家と卸業者が抱える問題点 365日労働私の卸先がスーパーだった為、棚を空ける事が困難で休む事ができませんでした。朝4時から各農家に集荷に行き、戻って梱包作業をしたら急いでスーパーに納品するという毎日。風邪を引いても休む事も出来ず体力的にも限界を感じていました。 利益率の低さと賞味期限の短さ扱っている商材が生野菜の為、賞味期限が2〜3日が限界で、売れ残ったものは破棄しなければなりません。しかも、1つ売れても数十円の利益にしかならず如何に大量にさばくかが唯一の利益を確保する手段となっていました。 ギャンブル性の高さ農作物なので収穫量等はどうしても天候に左右されます。豊作になれば価格は急落し、市場価格のバランスを保つ為出来過ぎた作物は畑に鋤きこまれてしまいます。価格が一定でないので経営計画を立てるのがとても困難でした。 3.加工食品への挑戦 問題点の解決の糸口が見つからないままいつも通り野菜の集荷に行くと、農家さんからとある相談を持ちかけられます。「規格外の野菜をどうにかしてほしい」理由を聞くと「せっかく作った野菜をとにかく捨てたくない。」というものでした。その野菜はパプリカだったのですが、小さな穴が空いておりもしかしたら虫が入っているかもしれないから必ずカットして中身を確かめて売ってくれという条件付きでした。生野菜の販売でただでさえ賞味期限の短さに頭を悩まされていたのに、カットまでしたらもっと短くなる、と思った私は初めて「加工品にする」という選択肢が頭に浮かんだのです。これをきっかけに人生で始めてピクルス作りに挑むのですが、何もわからないまま手探りで初めてしまった為完成するのに1年もの時間を費やしてしまいました。 4.ピクルスの絶大な効果を知る 私は10年ほど東京でTV製作の仕事に携わっていたので、商品さえ完成すればプロデュースは絶対に出来ると確信していました。またデザインやホームページ作成、撮影技術も独学で身につけており、販促物に対する費用も心配する必要がありませんでした。 様々なプロデュースをかけピクルスが売れる様になると、初めて「加工品の力」を思い知ります。 下の表はある月の卸売の売上と、ピクルスが軌道に乗り始めた時期の売上比較です。 売上自体は減少しているものの、原価率が縮小され利益が2.3倍に増加しています。ピクルスの販売を始めて手元に残る金額が少しずつ増え始め不思議に思い、これまでないがしろにしてきた原価計算をしてみるとピクルスの利益率が軒並み高く、野菜の卸売の利益を凌駕し始めていたのです。 これをきっかけに徐々に野菜の卸売を縮小し、ピクルスの製造一本へと舵を切り始めました。 5.自社商品の立ち位置を明確にする 2年ほどピクルスの製造と販売を続ける中で、販売先から様々な提案を頂く様になりました。その中でもっとも多かったのが「お値打ちなピクルス」つまり安価なピクルスの商品化です。 加工品に取り組み始め右も左もわからなかった私は言われるがまま安価なパックタイプのピクルスを作りました。しかし、これは大きな過ちでした。 安い方ばかり売れてしまい通常のピクルスが売れなくなってしまったのです。 しかも、利益率は半分以下なのに製造時間は同じ。 売れると言っても1日100個売れても14,000円にしかならず、スタッフも付きっきりになる始末。 安価なピクルスが悪いと言いたいのではありません。あくまで弊社の場合、かなりのスケールで量産が出来る体制が整っていなければ利益を出す事は難しく、また自社商品とのブランドや立ち位置の整合性を保てなければこれまで購入して頂いていたお客様が離れてしまう恐れがあるという事です。 せっかく高付加価値を備えた商品に育てたものを、目先の利益欲しさに手を出してしまい猛省しました。 6.心強い自社店舗での現金収入 卸売の場合、入金スパンが「当月末締め、翌月末払い」が基本になり収入を得るまでに30日〜60日かかります。この間、卸売だけの場合はもちろん収入はありません。これは経営者にとって頭を悩ます問題となっています。 私は先ほどの「安価なピクルス」での失敗を元に、ピクルスの価値を下げずにより多くの方にピクルスを食べてもらおうと新たな商品として「ピクルス入りのサンドイッチ」の販売を始めました。これが思いもよらぬ効果を生みます。 来店者数が激増したのです。これまで店舗は工場の3坪の空きスペースに申し訳程度に設置していたのですが、突如そこにお客様が殺到したのです。 自社店舗に全く力をいれていなかったので、店舗売上はおまけみたいなものという認識でした。恥ずかしながらこの時始めて現金収入が入ってくる自社店舗運営の最大の強みに気づきました。 こちらがその売上比較になります。 平均売上は1.5倍に上昇し毎日3万〜5万円の現金収入が入るようになり、その売上だけで仕入れや経費などを捻出する事が可能になりました。 また、今まで見なかった客層に新たにアプローチをする事ができ、様々なニーズを聞き出す事が出来たのです。これが次の施策へと繋がるきっかけとなります。 7.失敗しても最小限に費用を抑えるためにDIYでカフェを開業 来店者数も増えお客様との会話のなかで「飲み物も出して欲しい」という声を聞き、ライバルの多いコーヒーを避け紅茶専門のカフェをDIYで開設しました。 これまでカフェの経営もカフェで働いた事も一切ない全くの素人です。失敗をしても支出を最小限のタメージに抑えるため、水道工事以外は全て自分一人で行うことに。新たに物販専用の店舗を借りており、そこをカフェにする事にしました。工事もやった事がなかったので本やネットで調べながら施工を行い、保健所に行き飲食店営業許可申請に必要な設備や施工基準などを聞きながら進め、約1ヶ月後に完成しました。 8.野菜の卸売から8倍の売上を達成 下の図の野菜卸売の売上は最も業績が悪い時で、小売店から急に販売棚の撤去を命じられ精神的にも袋小路状態になっていました。この時に、「こういった外的要因で事業に影響が出にくいもの、販売先が一社に依存しないようなもの」にシフトしなければならないと強く思い始め、生野菜ではない新たな商品開発に取り組み始めました。結果、ピクルスの販売、サンドイッチ、カフェ運営と少しずつ事業を広げ、野菜の卸売だけだった時に比べると売上も8倍にまで伸ばす事が出来ました。 この当時の固定費を占めていたのはバイトスタッフ3名と家賃で20万くらい。余裕で捻出できます。しかも、「休みが取れない」「利益率が低い」「価格が自分で決められない」など、あの当時抱えていた悩みもほとんど解消されています。 今では心に余裕が生まれ、スタッフを雇い入れる事で自分の時間も確保でき次のステップアップの為に動いています。加工食品を製造するメリットは様々ありますが、この様に私の場合はピクルスをきっかけに事業が180度変わりました。 野菜の販売をしている時はカフェをやりたいなんて思ってもいませんでしたし、まして加工品の学校を開くなんて想像もしていませんでした。しかし、これまで自分が培ってきた知識やノウハウは、あの時の自分と同じ状況の方達にとって本当にお役に立てるものだと思っています。 ものが売れない、売り方がわからない、自分の野菜で加工品を作りたい、など何かに行き詰まって何をしたら良いかわからないと悩んでいる方は一度ご連絡ください。なにかしらの活路が見出せるよう、全力でサポートさせて頂きます。 9.売れる商品に成長させるまでにやったこと 萩野菜ピクルスは今でこそ全国でお取り扱いを頂いておりますが、そこに至るまでには様々な施策を講じています。当然ですが、ただデザイン性の高い商品を作っただけでは売れる商品にはなりません。高品質なもの、希少性の高いものを使った商品だから売れるわけではありません。萩野菜ピクルスに至っては普通の野菜どころか規格外の野菜を使用しています。 サンドイッチもカフェも出せば売れるわけではありません。売れるには必ず理由があります。そして理由は一つではありません。デザイン、商品背景、話題性、価格設定、味、情報発信、マーケティング、全ての要素が複合的に絡み合って人を惹きつける商品となり、初めてお客様に手にとって頂けると私は考えています。 ピクルスアカデミーでは私自身がこれまで講じてきた様々な施策を実例にマーケティングを学んで頂きます。もちろん多くの失敗もしましたが、その失敗から次につながるものを発見し次に活かしてまた挑戦する、その繰り返しの中でうまくいったものが積み重なって今の実績があります。 商品はまず手にとってもらわなければ買っていただけません。数多ある商品棚の中から自分の商品に興味をもって手にとって頂くには、とにもかくにも「見た目のインパクト」が最も重要になってきます。 そこで私が商品化の際に最も重要視したのが「デザイン」です。加工食品は全国の小売店で販売できますが、各店舗に自分が行って商品の説明をする事は不可能です。なのでその役割を商品自体に託すしかないと考えたのです。それにはまず、お客様が手を伸ばしたくなる商品にデザインしなければなりません。 瓶詰めにしたピクルスは元々が野菜の色が自然と生える格好になっており、これを邪魔する様なデザインにはしたくなかったので表面は「透明地に商品名だけ」というシンプルなものにしました。萩野菜ピクルスは高価格帯で販売する予定だったので商品名を金の箔押しを採用し高級感を演出しました。 そしてロゴマークも意味があるものにしなければなりません。 私の場合はコンセプトが「萩の人だけに買ってもらう商品」だったので、自然にターゲットは「萩の人」オンリーになります。なのでロゴは萩の人が見たら一発でわかる、萩のシンボルである指月山(しづきやま)と菊ヶ浜(きくがはま)をどうしても取り入れたかったので、それを元にデザインをしました。もしこのロゴを富士山周辺の土産物屋で見たら、間違いなく富士山を連想するでしょう。しかし、私は当初萩以外で商品を売るという事は全く考えていなかったので、他の地域の人がこのロゴを見て何を連想するかというのはどうでもいい事だったのです。地方で加工品を作る場合、絶対に意識しなければならない事は「地元を味方につける」事です。 地元の人に応援されない、地元の人にすら知られてない、地元の人が手土産で利用したいと思わない様な商品は、他所の土地ではもっと売れないと考えています。 お客様は「食べる」ことよりも「見る」ことで最初に商品を知る事になります。「美味しい」という感想は買って頂いた後の話です。 まずは見て興味をもってもらうという事に最大限の力を注ぐ事が何より重要だと思っています。 11.ブランディング 加工品を作りたい人には必ず伝えたい何かがあるはずです。その土地の文化や特色、自慢したい特産品、大量には採れないが希少な農作物など様々あると思います。 それらは全てブランディングの一部として使う事ができます。「ブランディング」、即ち「価値付けによる差別化」にも様々な種類があります。 ・1日10個しか作れない・1日1000個売れている・皇室御用達・創業300年の老舗がつくった商品・ここでしか手に入らない限定品・ご当地のソウルフード など商品に足して価値を与えるものは品質だけでなく、それ以外のストーリーだという事がわかります。 萩野菜ピクルスが生まれた背景には「捨てられるしかない規格外野菜をどうにかしたい」という確固たるものがありました。作為的に聞こえるのでであまり声を大にして言いたくはないのですが、私は規格外野菜で加工品を作ると決めた時点で、これは勝手にブランディングとして成立するなと考えていました。 事実、お取引の問い合わせを頂くバイヤー様からは、ほぼ全員の方からはこの取り組みについて評価をして頂いて「ぜひ弊社のお店でも販売させて頂きたい」と声をかけて頂いています。これが他の商品との差別化につながっているのだと思います。 しかし、規格外のものを使った商品はピクルスに限らず至る所で目にします。そこで私はもう一つのブランディングとして2016年にグッドデザイン賞に応募をしました。 応募当初はデザインを評価して頂きたかったので「商品パッケージ部門」で応募しましたが、この取り組みを評価してもらいたいと考え直し「社会貢献部門」に変更し、無事受賞する事ができました。 グッドデザイン賞の知名度は高く、新規取引のバイヤーからはこの賞を受賞している事で品質に対する評価も付加される様になりました。また、ピクルスでグッドデザイン賞を受賞しているのは日本で萩野菜ピクルスだけなので他商品との差別化にもなっています。これらの事もあり、メディアへの取材も増えたことで知名度のアップにもつながりました。 このようにブランディングはその商品の背景や様々な要因で肉付けされるものです。商品開発をする際には、その商品をどう差別化するかを考えながら進めるといいと思います。 12.営業に行かない営業 萩野菜ピクルスはこれまで様々な会社とお取引をさせて頂きました。大手企業で例に挙げると、 ・セブンアンドアイ・伊藤忠・DEAN&DELUCA・SALON adam et rope・阪急グループ・銀座松坂屋・NEXCO・TAKE and GIVE NEEDS など、およそ野菜の卸売をしていた時には考えられない様な会社とお取引をさせて頂きました。 どのようにしてこういった会社とお取引が出来る様になったか、というと実はこれらは営業にいかずにお取引が決まっているのです。 当たり前ですが、商品が完成した当初は売り込みに行きました。商品は出来たものの、「果たしてこれは売れるのか?」という疑問は売ってみないとわかりません。 なので、最初は地元の道の駅や知り合いの会社に全て委託販売でお願いして販売させて頂きました。 販売方法には「委託販売」と「買取販売」の2種類あり、それぞれメリットとデメリットがあります。 簡単に言うと・委託販売は売れた分だけ利益になり、売残りは自分で回収するのでマージンは安い・買取販売は全部買い取ってもらえるがマージンは高い。しかも売れなければ次の発注はかからない という仕組みです。どちらがリスクを負いますか?という選択ですね。 私の場合は、売れるかどうか分からないものをいきなり買い取れとは言えなかったので、お店に並べてもらえるだけでもありがたいと思い全て委託販売でお願いをしました。しかし委託販売は置いてもらうは簡単なのですが、管理が非常に手間がかかる事に気づきます。店頭で何個売れたかの管理や、それによって何個納品するかもこちらが決めなければならず、毎回納品書を作成し月末には請求書を作る。これが本当に大変でしたが、続けるしかありませんでした。 そういう状態を続けていると、新しく販路を開拓する時間などなく日々の業務に追われる様になりました。この状況を打開しようと取り組んだのが、ネットでの営業です。 ネットの営業と言っても企業のホームページに売り込みにいくというものではなく、ピクルスで検索した時に自社のホームページが出てくるように仕向けることでした。バイヤーが商材を探す時には必ず検索をかけるはずだと考えたからです。 そこでやったことは、萩野菜ピクルスのレシピの開示です。「ピクルス」のキーワードで検索する人たちはほとんどが「作り方」「レシピ」で検索をしていることがわかりました。 そこで、ホームページ上にレシピを公開し、ピクルスレシピEBOOK「ピクルス食堂」というものを作り無料でダウンロードできる様にしたのです。 この施策のおかげで検索上位を取る事ができ、勝手に取引が決まっていくというサイクルが生まれました。 13.メディアとの付き合い方 私はこれまで50回以上、様々なメディアに取材をして頂きました。 メディアは無料で超大多数の方に宣伝効果を生む最強のツールです。取材の依頼がきたらどんな媒体でもいいので必ず出るべきです。 ではどのようにすれば取材に来てもらえるのでしょうか?私が心がけていることを上げてみます。 ・ストーリー性がある・なにかの問題を解決に取り組んでいる・地方や日本が抱えている問題に関係している・見た目にインパクトがある・何かで1位を取った、受賞した・毎日行列ができている・極端にでかい、小さい、高額、ゼロ円・特定の年齢層に大人気 こういったネタは大概どこか一社は取材に来て頂けます。特に・なにかの問題を解決に取り組んでいる・地方や日本が抱えている問題に関係しているこの2つは特に来てもらいやすいです。 萩野菜ピクルスの場合は、「農業の問題解決に取り組んでいる」「規格外の野菜を再利用」「農家の収入の一助になっている」「商品の見た目のインパクトがすごい」などの要素があり、多くの取材をして頂けました。また、一度取材をして頂けると人間関係も構築出来る事があるので、何か新しいことを始める度に、事前に連絡をし取材をしてもらえるか問い合わせることも出来ます。 商品のブランディングをきちんと考えて商品開発をすればおのずとメディアが反応してくれるような物語はついてくると思います。 では商品がない場合は取材はしてもらえないでしょうか?私は起業をすると決めて東京から山口に帰った時にすぐにおこなったのは、「いつか自分は起業をするのでそれを追ったドキュメントをつくって欲しい」とお願いをした事です。 もちろんほとんど断られましたが、地元情報誌が起業までの道のりのコラムを書かせて頂けるようになりました。まずは萩の人にこういう人間がいるんだ、と地元で知名度をあげなければならないと考えていたので、本当にありがたかったです。「こんなこと効果あるのか、、、」と思うか、「この機会を絶対有効に使おう!」と思うのかで差が生まれてくると思います。この時は萩の野菜のブランド化に取り組んでいたのですが、これで知ったという朝日新聞から取材の受け、その朝日新聞を見てNHKが取材に来てくれたのです。 NHKの放送後には電話がひっきりなしに続いて色々な問い合わせを頂いたのです。 自分が何かに取り組んでいる事は、発信しなければ伝わりません。この時は今よりSNSが盛んではなかったのですが、自分がこの当時ターゲットにしたい人たちは野菜を買ってくれる地元の主婦の人でした。その人達のこの地方情報誌の購読率はとても高い事を知っていたので、SNSより絶対にこっちのほうが費用対効果は高いのです。 自分が誰をターゲットにして、どの媒体のメディアを狙うのか、また取材のネタなんてものは商品がなくても自分でもなんでも売り込めばいい、というスタンスで取り組むといいのではないかと思います。 14.販促ツールの制作 先にも書きましたが私はこれまで制作物は全て一人でおこなってきました。外注に依頼した事は一度もありません。理由はとても簡単で、起業準備中のお金がない時に技術を独学で学んで自分で作れる様になったからです。 デザインが必要になれば本を買い、ホームページが必要になれば本を買い、写真が必要になればカメラと本を買い、全て独学で技術を習得してきました。しかし、仕事として取り組まないと全くモチベーションが上がらない事に気づき、それからは知り合いの会社に「お金はいらないのでホームページを作らせて欲しい、チラシをつくらせてほしい、会社の紹介写真を撮らせて欲しい」と頼み込みました。その代わり失敗しても文句はいわないでください、と条件を付けさせて頂きました。 この事を聞きつけた他の会社から色々と声がかかるようになり、先方のリクエストに応える度に壁にぶち当り、解決方法をネットや本で調べて技術を向上させていきました。ある程度のクオリティーでほとんどのものが作れる様になると、次からはきっちり料金を頂いて仕事として請け負う様になり、起業資金を貯めていったのです。 15.さいごに ここまで書かせて頂いた事、どれか一つ抜けても今の状態がなかったと思います。 デザインがいいだけではダメ、安いだけではダメ、ストーリーが素晴らしいだけではダメ、という意味がわかってもらえたのではないでしょうか。どれか一つが秀でてるだけではなく、見た目、ターゲティング、情報発信、価値付け、全てが絡み合ってやっと一つの商品が売れる様になるのです。ピクルスアカデミーでは以下の問題を解決するお手伝いをします。 ・売上を伸ばしたい・加工品が作りたいけど何から始めればいいかわからない・利益率の低い商品、商材からの脱却・チラシやポスター、SNSで使える写真撮影、加工技術・販路に行き詰まっている・商品のブランド化、差別化ができない・商品デザインができない・メディアに取材に来てもらえない ピクルスアカデミーではこれら全てを徹底的に考えて、受講生の皆様に商品開発へと取り組んで頂きたいと思っています。ピクルスに限らず、加工品を自社で考えている方は下にリンクを貼っているので、ぜひ一度お問い合わせ頂ければと思います。ピクルスアカデミー 合同会社JINRI 代表 椋木章雄